虚空 第四章
第四章       新モンスター観測所発足と幸多きハンターlife
 
ラオを倒した日にドレイクを弔い、悲しみを共有した仲間をこれ以上増やさない
とドレイクの墓前に誓う。今俺の中にはドレイクが生きている。俺の心のなかに
確かに生きていて今も笑っている、そんな気がしてならない。次ぐ日毎日のように
狩りに行く準備をしているとハンターの友である週刊誌「狩人日和」の一記事に
目が止まる。その記事とは、「新モンスター観測所が発足、各村に配置」という
見出しで内容は最近になって続々現れている新モンスターをモンスターの専門家
が観測するための機関でドンドルマに本部があり発見されるたびに発表がある
という記事だった。読み終わってから準備し終わり集合場所へと向かった。
やはり今日も集会所は混みごみしていた。待っていると一人の青年に声を掛け
られる。「もしかしてあなた様はあのラオシャンロンを倒した四人パーティー
の一人で隊長のロベルト様ですか?」と聞いてくるので「ああそうだが、何か
用かな?」と答える。「申し遅れましたが、私はジーク=フリードと申します。
単刀直入に言いますが、私をパーティーに入れてください」と言った。「それは
俺一人で決める事じゃない」と言って。待ってもらっていると、すぐアリス達は
やってきた。
 
「アリス、入りたいって言うハンターがいるんだがどうする?皆と考えて
決めたいんだが」と相談すると。「別にいいと思うよ、その人の意思が固ければ
何と言おうと無駄だよ。まあ悪い人じゃなさそうだしね。」と賛成を得たため
ジークを仲間へとむかいいれた。するとジークは自分が創造と破壊の加護を
持っていることを語った。自分があまりにも強い加護を持っているせいで
組んでくれるパーティーは皆無で1つもなく孤独で孤独で仕方なかった。
と語るジーク、「まったくこのパーティーには問題を抱えたハンターが
集まってくるな」と愚痴をこぼす。「そうだよね、私なんか雨が苦手で
パーティーが組めなかったってパーティ組んで始めての雨の日に告白して
笑われたものね」「あたしなんか幼く思われててパーティーが組めなかった
なんて言ったから、恥ずかしくて顔から火が出そうだったよ」「俺なんか
老けてるってだけで駄目だったのを組んだしな。」「実は俺な親父がどこにいるか
分からなくて奔走してたけどパーティー組んで皆変わったよな。ただ一人今は無き
ドレイクはあまり救えなかった。」だがもうあんなことは起こさない、
いや起こさせないだから安心して狩りに行こうぜ!今度はディアブロスを狩りに
行くぞ!皆砂漠に直行だーーーー。と威勢のいい声をだして砂漠へと向かった・・・
 
砂漠は砂嵐吹き荒れる危険なところであり、何より暑い。この温度差と
砂の大地に培われたモンスターは皆協力であり、素材も上質である。
テントにてクーラ-ドリンクを飲み、肉にしゃぶりつく、そんなこんなで
準備が整いディアを探す。「あっち-」と弱気を吐き始める俺を慰めるかの如く
水の加護のベールを皆につけるミリア。その時、数百メートル先で突然
ディアが飛び出る。すかさず潜らせないため俺の大地の加護による地面を作り出す
そしてジークはなにやら武器を持っていないのだがどうしたと言うのか・・・
そっと手を地面に触れるジーク、「我作るは刀なり、この地に眠れし刀よその
力を我に貸し与えよ」となにやら呪文みたいなものを唱え出す。途端にジークの
近くの土が盛り上がる・・・
 
「ズズズッ」と音を立てて太刀が出てくる。それを掴むジーク、引き抜き様に
ディアへと刃が閃く。数百メーター先のディアまで刃が伸びている。「なんなんだ
その刀は」と驚きつつ聞く俺、「ああこれはこの地に眠る加護を司る精霊の
力の一部を刀の形へと固めたもので、各地で形状の違う武器になるんです」と
意気揚揚に答える。「そうだったのか、だから武器を持ってなかったんだな」
と答える。ディアはいきなりの攻撃に戸惑うもののこちらへと突進を挙行する。
岩盤を作り角をブッ刺す。もがくところに一斉攻撃を加える。角が簡単に吹き飛び
苦痛に鳴くディア、さらにジークは片手で太刀を使い軽快に走り、片手にクーラ
ードリンクを持っている。そしてディアは潜って逃げていく。途端に砂嵐が吹き
荒れる、「何だ」と言った時には遅く。クシャルがその頭上に現れた・・・
 
いきなりのクシャルの登場に怯えきるパーティーに対し冷静な俺。
「皆、落ち着くんだ!落ち着けば俺たちに敵うものはいない。」と励ましつつ
アリスを見る。その目は俺の声に呼応し希望を取り戻し、生気がみなぎってくる。
「そうよ、皆、勇気を出せば怖い相手ではないわ」と俺に続いて言う、ロードスと
ジークは自力で恐怖を取り去ったらしいが、ミリアは「なんで、あいつが、私の
村を破壊しお母さん達を奪い、蹂躙したあいつが何でここに」と呟いて地面を
見ている。そういえば聞いた事がある、ドリア-ド村という村が突然クシャルに
襲われ絶望的な死者を出した。という記事を見たことがある。まさかその時の
生き残りがミリアだったとは・・・途端にミリアは水の加護を最大限発揮し、
クシャルに殴りかかる。クシャルは臨戦態勢へと入る・・・
 
クシャルはそのまま風を纏って爪を食らわせようとする。
水を風でなぎ払い。クシャルの爪がハンマーに刺さる、そこからハンマーを
横薙ぎに振るう、爪が折れる。後ずさりつつブレスを吐く、俺は壁を作り防ごうと
するがその壁もろともミリアにブレスがヒットする。数百m吹き飛びつつも気力で
立ち上がるミリアに「俺たちも戦うよ」と声をかけようとしたところに水の
加護による水柱が出てそれはいくつもに分かれサークルを作る。まるでクシャルと
一騎打ちをするかの如く。
ジークの加護も通じない、やがて玉砕覚悟でジークがその身を糧とし道を切り
開く。「後は頼みましたよ」と一声呟きその場に倒れる。俺はアリス達に先に行く
ようにいい、ジークへと駆け寄る。「あなたは仲間の死を経験しているようだ」
とおもむろに変なことを言い出す。「私は実はこの世に居ないのです。」「へ?」
と首をかしげる「私はこの加護そのものなのです。」「嘘だろ」驚きの内に「私は
あなたと一つとなりこの世界に訪れようとしている新しきモンスターの大群と
戦いましょう。それにはかなりの実力のあるハンターの中に宿る必要があったの
です。」と長々と話す。「それで俺がそうだと言うのか」「そうですあなたなら
私の全てを使いこなし、危機を脱させる救世主になる人です」といい光となる
ジーク、そして俺へと入っていった。「私とドレイクという方はいつもあなたの
傍に・・・」と声が聞こえる。俺はクシャルへと向かう・・・
 
向かい合い、睨み合う、ミリアには冷静になる様に呼びかける、「だけど、
だけど、あいつはお母さん達を・・・」「分かってる、でも一人で敵う相手じゃ
無いんだ、一緒に戦おう」「ありがとう」涙ぐむミリアをそっと抱きしめる。
このときある一人にジェラシーの炎が灯っていた、それは言うまでも無くアリス
だった。「いくら悲しみに溺れていても抱きしめてくれなかったくせに・・・」
心で呟いている。「行くぞ!」という掛け声と共にクシャルに襲い掛かる。
ミリアは水の加護により砂を固める。そこにアリスの風がクシャルの風と
混ざりつつ襲い掛かる。俺は大地の加護で回りに壁を作り風を倍加させる、
ロードスの雷の加護が脳天よりクシャルにヒットする。さらに俺は壁をドーム
状にし閉じ込める。だがさすが古の龍、古龍だたやすくドームを壊し俺へと
突進する。ジークより受け継いだ加護の力にて刀を仕込み刀にする、そして
切り込む・・・
 
「ギャリィィィィーーー」とけたたましい金属音を立ててぶつかる俺とクシャル
そのまま重さを利用した回転切りを披露する。それは奴の堅き鱗を容易く裂き
鮮血の花を咲かせる。一声奴が鳴くとその場に倒れた、その時地面が盛り上がり
あのディアが出てきた。それをミリアのハンマーが見舞う。さらにはアリスの
矢が刺さり、ロードスの大剣が脳天を襲い最後に俺が攻撃しようとした時、心に
呼びかける者があった、ジークとドレイクだった。「私たちの技が合わさり最高の
剣術流派が完成しました受け取ってください」その時俺の身体に流れ込んでくる
物があった。「古流剣術鎌イタチの舞!」と叫び、仕込み刀の伸縮を使い
手首の回転により剣と竜巻が奴を襲う。こうしてディアは倒れ帰ろうとした時
ふと背後に今まで感じたことの無い、一番ハンターが感じてはいけないものを
感じた。それは恐怖であった。振り返ると倒したはずのクシャルが立っている。
だが様子が変だった。すると奴はひび割れ始めた・・・
 
中から何と禍々しき黒き鱗がさざ波の如く連なり奇妙な一体感を織り成し
なんともいえない美しい姿を現したものが居る、何者なのか分からない
そいつは軽く鳴くだけで大地を軋ませ風を巻き起こしその風は竜巻を作り出す。
「そんな・・・軽く鳴くだけでこんなにすごいのかよ・・・」途方にくれる
俺を尻目に他の者は突撃する。一瞬奴が見えなくなったかと思うと皆が血を吐き
倒れる。それを見ていた俺は大地の加護にて土壁を造り盾とし創造と破壊の
加護により武器を作り出し、腐食の加護で壁を壊しきりつけようとする。
「キィィィーーーーーーン」と音を発し当たった感触が手に伝わる。「よし、
行けたか」と叫んだとき目の前に奴は居ない。変わりに奴の鱗になりきれて
いない物が落ちている。「そんな、当たったのはこれか・・」と嘆く俺に次の
瞬間俺に衝撃が襲った・・・
 
「くっくそ、このやろう」と吐き捨てるようにいい腹部を押さえる。奴は一声
鳴いて消え去った。クエスト終了の発煙弾を撃ちアイルーに村へと運んで貰う。
村へと帰ると新モンスター観測所なるものが出来ていたので聞くことにした。
「あのすまないが一つ聞きたい事があるんだが」「どうかしたのかね」と答えた。
「黒い鱗をさざ波のようにもち軽く鳴くだけで天変地異を引き起こし、グラビモス
並みの体格に合わないほどの素早さと知能他にも能力があるかも知れないが・・・
知らないか」「それは最近出た新種の龍、凶龍種の滅龍ギルガイクだと思うが・・・」
さらに光龍種、輝龍種、神龍種などがおる。そやつらは分からないことばかり
じゃが必ず解明してみせる・・・」と熱弁する。「有難う」と一声掛け
身体を休めることにした・・・
    第四章 新モンスター観測所発足と幸多きハンターlife
               完