一部 三章 後編
 三章 後編
 
ヘレンの体が完全に、回復するまで二日かかった。直った日、
「こんな子連れて何してたの~?ジャック~?」などと、疑われた
ものの、ビークの娘と言うと納得した。ヘレンが回復してから
一週間、古龍観測所から一通の手紙が届いた。
「ジャック殿に狩ってもらいたいモンスターがいます。
その名も幻獣〈キリン〉と言う、名前のとおり極希に、
見ることができる古龍種です。このモンスターは体か
ら電気を放ち、至るとこでも落雷を落とす厄介な攻撃
を、してきます。尚、報酬の方はご希望の額をお支払
します。」と言うことらしいが、行くか?と聞くと
リースは「もちろん!行きますよ!」と元気に言い、
ヘレンは「私も、丁度作りたい武具があるから。」
と言い、俺が率いる猟団フィアーズは幻獣キリン
討伐に向け、雪山に向かった....
 
雪山の頂上をふと見ると、悪天候でもないのに雷が荒れ狂っている。
やはりキリンが居るようだ、まずホットドリンクを飲み、肉を食い、
女性陣には「本当にやばくなったら逃げてくれ」と言い、新調したキリサキ
を担いで山頂へと登った、するといきなり頭上に暗雲が出てきた。もしやと思い
その場から逃げる、途端に今まで居た場所に雷撃が落ちる、驚いていると目の前に
光の衣を纏ったような幻獣キリンが姿を現した途端にヘレンは強撃ビンをセット
矢をつがえ放つ当たった、キリンは痛がるものの突っ込んでくる。さらにニーナの鬼人切り
がキリンを襲う、さらにキリンは痛がるものの攻撃を止めようとはしない。
振り向きざまに三段溜め切り、溜め叩き付けが時間差で襲う。しかし怯むものの
やはりまだ攻撃が続く、「やはり幻獣は強い、これだけ攻撃してもビクともしない
恐ろしい奴だ」・・・
 
キリンと俺達との攻防は40分も続いていた残り15分となっていたため
俺達にも疲労と焦りが募ってきて、攻撃に鈍りが生じてきていた、だがキリンも
斬られ射抜かれ体力が限界に近いのだろう、しきりに首を振っている、俺が溜め切り
を当てるとぶっ倒れもがいている、チャンスだ!「皆チャンスだ!一斉攻撃!!!」
というとヘレンは精一杯絞った弓をぶち当て、ニーナは鬼人切り、俺は三段溜め切り
ジョディーは溜め叩きつけ、皆勝どきの声を上げ攻撃を続ける。残り時間も残り5分
最後のチャンスと思い、全員での精一杯の攻撃を当てるとひときは甲高い声を
上げキリンは動かなくなった。「やった」と全員で勝利の雄叫びを上げ村へと帰った
ヘレンは一目散に工房へキリン素材を持ち走っていった。ニーナは「たのもしんだね
お師匠様」というので「まあな」と言っておいた。ジョディーはと言うと酒場へと走っていった。
にもかかわらず、この胸騒ぎはなんだろうか?また危機が迫っているのだろうか?
そんな疑問を持ちながらもクエストの疲れを癒す事にした・・・
 
次の日工房に行った俺は、キリンの素材を持っていき、召雷剣
を作ってもらうことにした。金は、鉱石類を売りなんとか生産
できる分集まった。その後に、防具を強化(持ち金で、強化できる分)
し、金儲けの為にポッケ村から遠い、旧密林に厳産キノコを取りにきた。
なぜ俺が厳産キノコを取りに行けるかと言うと、キリンを倒した事で
ギルドから、その腕は確かと言うことを認められ、上位に行けたのだ。まぁ
キリンを倒したから、上位に行けたと言うことではなく、今までの
功績もあって行けたのだ。それに上位と言っても、まだこう言った
採取クエストや、ランポス退治ぐらいしか、行けないのだ。
ヘレンは前から、上位クエストに行けたが、俺の為でもあるが、
上位クエストは格が違うため、下位クエストで腕を磨いていた。
船を降り、旧密林に足を踏み入れる俺は急に村が心配になった.......
 
気のせいだろうと、自分に言い聞かせ厳産キノコを探しに向かった。
.......村やヘレン達に危機が迫ってる事に気がつかずに、だ。
村ではヘレンとリースが、買い物をしていた。回復薬や砥石など
狩りに必要なものを、揃えていた。すると、村に大怪我をしたハンターが
帰って来た。鉄壁とも言える、グラビドシリーズの銅鎧は元の姿には
到底見えないほどに、へこみ、ひび割れて砕けている。そのハンターは
「見えない敵に...遣られた....。気をつけろ...奴は消えて攻撃してくる...ぞ。」
と言い、気を失った。ヘレンはあるモンスターが頭に浮かんだ。
霞龍〈オオナズチ〉消えて攻撃する奴は、まさしくさっきのハンターが言った
事に当てはまる。「どうする?リース。ジャック居ないけど
狩りに行く?」と聞くと、「はい!師匠を驚かせましょう!」と言う。「じゃ仲間を
集めないとね。」と辺りを見わたすと、ディアブロスの様な巨漢の大男がいた。
「もしかして貴方はマルコさん?」と聞くとあぁ、と答えた。
丁度良い、マルコさんなら信頼できる。「さっきの話聞いてま
したよね?」「あぁ」「なら一緒に狩りに行きません?」「あぁ」
 
ということで、マルコとヘレン達は霞龍オオナズチを討伐に向かった。
その後だった。古龍観測所から、災いを知らせる手紙が来るのは.......
二日後、ジャックは村に帰った。何だ?また村が騒がしい.....ここ最近
古龍種が続々と発見される。もしかしたらこの騒ぎも又古龍種が、
発見されたのだろうか?俺は村長の元へ向かった。
「村長、この騒ぎは何だ?又古龍種が現れたのか?」と聞くと、
「ああ、そうだぁよ。この村に砦蟹シェンガオレンが来てるだぁ」
砦蟹、奴は老山龍の頭殻を殻にした、甲殻種である。その体の大きさ
は、ショウグンギザミの約三倍の大きさだ。巨大な鎌はあらゆる物を
薙倒し、一歩あるけば地面は揺れる、まさしく砦、と言える。
......そういえばヘレン達がいない。聞いた時、俺は究極の選択を求められる.......
「ちゃんとよく聞け....ヘレン達は霞龍を狩りに行ったきり、
帰ってこないんだぁ。霞龍とはいえ、古龍種は傷付くと逃げる
から今日朝早くから帰ってくるはずなのに、帰ってこないんだぁ.....」
俺はその場で立ち尽くした.....
 
俺はどうすればいいか、わからなかった。もしヘレン達が怪我を
負って、動けない状況ならすぐに助けに行く必要がある。
シェンガオレンを狩った後なんかに行ったって、
間にあわなく飢え死にするか、霞龍の攻撃を喰らって死ぬだろう。
でも、今砦にいるハンターは少なく、一人でも多くのハンターを求めて
いるようだ。ヘレン達を救出しに行ったら、村に砦蟹が来て村が破壊されて
しまうかもしれない。それは、親父との誓いを破る事になる。
そう悩んでいる時だった。後ろから誰かに肩を叩かれた。振り向くと
そこには、老山龍の防衛戦の時にいた、みんなをまとめていたハンターだった。
「シェンガオレンは俺達に任せとけ。愛しのハニーを助けに行ってこい。」
でも、と言いかけたが「いいから行ってこい!彼女達が死んでもいいのか!」
俺はその言葉を聞きヘレン達を助けに行くことにした。「.....アンタ名前は?」
「ジャンだ!行ってこい!」俺は道具を背負い、ヘレン達のいる森丘へと
向かった.......
 
「.......ジャン。本当にジャックなしで、撃退できるのかい?」
「.......心配するな、村長。俺の命にかえてもこの、ポッケ村を
守ってみせる。親父との誓いを守るためにな.........」そう言い残した
ジャンは砦に向かった。村長はジャンが言った言葉が妙に気になった。
〈森丘〉「ヘレンさん!大丈夫ですか!?」リーフは横に倒れている、
ヘレンに回復薬や解毒薬を飲ませながら、そう問いかけた。
「うぅ.......この体ではここから逃げられそうもないわね。」そう、
ヘレン達がいる場所はエリア9の小さい空洞の中にいる。ここに
何とか避難したが、オオナズチは出口で待ちかまえ、さらにヘレンが
奴の特殊なブレスを喰らってしまい、動けないのだ。マルコは
オオナズチの気を引いて、ヘレン達を逃がそうと試みるが、
到底この体では不可能だった。腹が減る。おそらくはリーフとマルコ
もそうだろう。丸一日何も食べてないのだから。「私達、死ぬの?」と
思った時だった。突如、辺りに強烈な光が起こったのだ。外を覗くと、
そこには.....ジャックだ!そしてオオナズチが視界を奪われ暴れている。
 
「ジャック!どうしてここに!?」「いいからこれ飲んどけ!」
渡された物は元気ドリンコだった。ギルド認定の元気が出る飲み物だ。
「あと、マルコとリーフも俺が持ってきたこんがり肉Gを食って
腹満たしとけ!」マルコは何も言わずこんがり肉Gにかぶりついている。
マルコの防具はグラビドシリーズ。武器はブルーテイル、高い火属性
を持つ優秀な武具だ。そんな彼も霞龍に苦戦している。確かにこいつは強い。
特にステルスが一番厄介だ。背後から襲われる場合が多い。だが俺は
そんなに甘くはない。奴が消えると同時に、俺は〈けむり玉〉を
オオナズチがいる辺りに投げつけた。すると煙によって、奴の姿が丸見えだ。
俺は〈バルバロイブレイド〉から強化した武器〈クリムゾンゴート〉を
奴の頭の角に向かって、振り降ろす!見事に命中し、少し亀裂がはしっている。
マルコがダメージを負わせてくれたおかげだろう。そのまま、
斬り上げで角をぶっ叩く!角は折れ奴はぶっ倒れている。「みんな!一斉攻撃だっ!」
マルコの突進が、リーフの気刃斬りが、ヘレンの貫通矢が霞龍を襲う!
そして止めの三段溜め斬りが炸裂し、霞龍は絶命した.........
 
霞龍の死を確認し、集まりへレンに「大丈夫か?」と声を掛けて、マルコに
礼を言う「有難うあなたのお陰で私の妻が助かりました」というと「なにたいした
事ではないただ、前はすまなかった・・・」俺は「いいのさ、まこれからも宜しくな」
さらにジョディーが酷い傷で動けないらしく、穴の中で倒れているという。
ジョディーに手当てを施し、村へと戻る、村へ着くとまだシェンガオレンは
居るらしい、俺は女性陣には村に残るよう言いつけ、俺はマルコと一緒に砦へと向かった
砦に着くとシェンガオレンと戦闘している、中にジャンを見つける、そういえば
母から「お前には3歳違いの弟が居るんだ・・もしあったら面倒を見ておくれ。」
と言われていた。まさかとは思うが村長からジャンの言った言葉を聞きふと思い出していた・・・
 
と、そんな事な今はどうでもいい。一刻も早く加勢しないと、砦が破壊される。
「行くぞっ!マルコ!」「当たり前だ。」俺達はシェンガオレンの
足元に接近する。やはり巨大な殻を持った砦蟹は見上げるほど高い。
俺達は砦蟹の足を狙い、斬撃を喰らわす。弾かれるが、構わず攻撃を
繰り返す内に、刃が甲殻を斬り裂いていく。「おらぁぁぁぁぁ!!」俺は
三段溜め斬りをぶちかまし、足を少し赤くさせる。マルコもランス
の突進で違う方の足を赤くする。シェンガオレンが倒れた。チャンスだっ!
「マルコォ!口に向かって突進だ!」マルコは言われる前から、すでに準備していた。
マルコの突進が口に直撃する。シェンガオレンは甲殻種独特の血を流し、
必死に立ち上がろうとしている。俺は三段溜め斬りを喰らわせた後、
何故か胸騒ぎがしてきた。シェンガオレンは立ち上がると一緒に背中を
こちらに向ける。すると背中の老山龍の頭殻の口が開いた。まさか!?
「ま、まずいっ!逃げろ!」だが逃げる時間もなく、俺たちは奴の
「酸弾」を喰らい、意識が吹っ飛んだ.......
 
......あれからどのくらい経っただろう。隣でマルコが呻いている。
シェンガオレンは、何処にいるんだ?辺りを見渡すと、最後の城壁が
少し崩壊しているものの、残っている。だが砦蟹の姿はない。恐らくは、
撃退する事が出来たのだろう。とりあえず一安心したジャックは
立ち上がろうとした。が、しかし「ぐっ!!?」激痛が体を襲い、
立ち上がる事ができない。「くっ...くそったれ!...」激痛で又、気絶
しかけそうになった。必死に歯を食いしばり、痛みに耐える。
どうやらあの酸弾の強い酸によって皮膚が溶けてしまったらしい。
「ぐっあぁ!か...回復薬を塗れば....」ポーチに手をのばす。幾つか割れてるが、
三つ使えるのがあった。使い物にならない防具を脱ぎ捨て、回復薬を
体に塗る。幸い、後ろを向いていたので顔に当たらなかったが、
背中が焼けるように痛い。背中に回復薬をぶっかけたおかげで少し
楽になった。武器を杖にして難とか立ち上がり歩く。マルコも根性で
立ち上がる。「ぐっ....帰るぞ.....」「あぁ...」俺たち以外のハンターは死んだか、
あるいは自分の事で精一杯で村に帰ったかだろう。俺達も傷が痛むのを耐え
村に帰った
 
村へ帰るとヘレンが心配してまだ傷も癒えていない身体で寄り添ってきた。
「大丈夫」と声をかけてきたので。俺は「そんな事より自分の身体の心配を
しろよ」と言い、安心させ治療に専念させる。だが人間の身体とは不思議な
もので1、2ヶ月ほどであれほどの怪我は跡が残ったものの治ってしまった・・・
ヘレンの方も治ったのであるが、マルコの方は怪我が想像以上に酷いためハンターに
復帰できるかどうかが分からない身体になってしまった。
ジョディーは完治しニーナと採取クエに行っていた。
マルコがいつ帰ってきても言いようにフィアーズを盛り上げ、人数を増やし。
最高の組織としてしていくことを誓い仲間を探す事にした。
だが目の前に迫る厄災に気付くのはこのすぐ後のことだった。
 
傷が完全に完治するまで俺は、故郷ココット村に帰る事にした。
ココット村にたどり着くと、村の人に歓迎されて少し照れくさい。
まず俺は前に住んでいた家に向かった。未だに空き家のこの家は、
妙に片づいていた。俺は親父の部屋に入った。実は一度もこの部屋
には入った事がない。前に入ろうとした時、この部屋から殺気を感じ
て、以来足を踏み入れてない。殺気はいつの間にか消えていた。
その部屋にはテーブルが一つと謎の大剣が置かれていた。テーブルに
あった紙切れを見てみる。何か書かれているが、特殊な字で書か
れており、よく読めなかった。ここにあっても仕方ないので持ち帰る事にした。
謎の大剣に近づくと、どす黒い邪気を感じ取れた。その大剣に
触れると、痛みが腕から伝わってくる。痛みを我慢し、両手で持つと
途端に痛みが消えた。大剣が俺を受け入れたかのようだった。
この剣は様々な古龍や飛竜の鱗などを使って作られた大剣らしい。
武器を見てみればすぐわかる。この剣に見覚えがあった。遠く昔、
百年前に出会ったかのような、馴染みがある。その大剣を背中に背負い、
部屋を出てこの村の酒場に行き、龍頭を頬張り黄金芋酒を飲み干した.....