五章 力を求めて 前編
燃えたぎる太陽がぎらぎらと俺を照らし続ける。俺が今いるのは砂漠。
何故ここにいるかと...「ギャアギャアァ!」辺りに甲高い鳴き声が
響きわたる。俺の目の前にいるモンスターは「ドスゲネポス」と言われ、
麻痺性の毒を持っている。普通なら只の雑魚だが、俺の前にいるのは
上位レベル。しかも二頭だ。俺が今手に持っている武器は、
太刀の【飛竜刀・朱】だ。何故太刀なのかと言うと、俺には
大剣はまだ使いこなせないんじゃないか?という疑問が頭に沸いたのだ。
そして俺に向いている武器は何なのか色々試した所、太刀になったと
いう訳だ。まず俺は一頭に狙いを絞り走り出す。奴の攻撃を容易に
交わした後、喉に剣をふりおろす。見事に命中し、ドスゲネポスの
喉を斬り裂く。と、とっさに横に回転し、もう一頭の攻撃を交わす。
一瞬の隙を狙い二頭同時に気刃斬りを喰らわせる。大量の血が溢れ、
俺のクシャナシリーズに付着する。そして絶命した。素材をはぎ取り、
俺が新たに住み着いたジャンボ村に帰るのであった.....
ジャンボ村に帰ると村長が俺の所まで走ってきた。
「お帰り!ジャック!上位のドスゲネポスをいとも簡単に
討伐するなんて、凄いじゃないか!」俺は村長の話を聞く度に思う。
なんで、この村長は無駄に元気がいいんだと。そんなことを思っていると再び村長が話かけてきた。
「あ、そうそう。工房のばぁちゃんが話があるって。多分上位素材のことかな?」
上位素材?何だそれは?と思いつつ俺はクエストに行った荷物
(つまり素材がはいってる)を持ったまま工房へ向かった。
工房に行くとばぁちゃんが目を輝かせていた。するとばぁちゃんは話しかけてきた。
「おぉ!アンタ上位の素材を持って来たんか!」
村長も言っていたが、上位素材の事を聞いてみた。
「なぁ。上位素材ってなんのことだ?」
「上位素材は下位の素材よりも上質なものが多く、性能のいい武具が作れるんだよ!」
ばぁちゃんが誇らしげに言った。
「ちなみに上位素材で作れる防具は二種類あって
ひとつはSシリーズ。こっちは防御力が高くて、
もうひとつのUシリーズは防御力はSシリーズには劣るもののスロット数は3つ2つと
スキルが発動し放題なんだよ!」
やはり誇らしげにばぁちゃんは言う。
「アンタ今、ドスゲネポスを狩ってきたんだろ。それならアタシがS、U作れるけどどうするかい?」
性能がいいのは分かったが、今のクシャナには愛着がある。俺は
「いいよ。作らなくて。このクシャナには愛着があるからな。
気が向いたらまた来るよ。」と言って、俺は次のクエストの為に自分の家に戻った.....
次のクエストは「挟撃のイャンクック!」と言うふざけた名前の
クエストである。内容はイャンクック、イャンクック亜種の狩猟だ。
単体なら恐れることは無いが、二頭同時はちょっとキツイかも知れない。
そういう事も含め、ボックスの中にある閃光玉をできるだけポーチに
詰め込む。それに回復薬や砥石など狩りに欠かせない物を持ち、
奴等のいる【沼地】にへと向かった。馬車に揺れながら、ふとヘレン達の
事を思い出す。今ごろどうしているのだろう。きっと嫌われただろうな~と、
ため息をつく。普通ならそうだろう。居場所も教えず無言で村を出たのだから。
「まぁ謝れば許してくれるだろう......多分。」そんな事をぼやきながら
目的場所の沼地に着いたのであった.....
上位とは嫌なものだ。ついた瞬間にイャンクックの目の前からとは...
そしてイャンクックは上から炎を吐き出そうとしている。
もちろん不意を付かれた俺はイャンクックの炎を避けられる筈も無く直撃。俺は
「熱っちぃぃーー!!!」
等と声を出してしまった。一瞬パーティプレイじゃなくて良かった・・・。
と思ったが深く考えている状態では無いことを思いだし俺はとっさに回避行動を起こし
すぐに回復薬を飲んだ。さすが上位と言うべきか、ダメージが半端ではない。
気を引き締めないと殺られる。そう思いながら
遊びで作ったものの性能が良い為使っている氷属性の太刀「太刀扇[ガバス]」を抜刀した...
抜刀したそれは見事にイャンクックの嘴を切り刻む。その勢いで
連続攻撃をし、イャンクックを怯ませる。尚も攻撃をする俺は気刃斬り
を喰らわせる。かなりのダメージを与えた時、俺の頭上を何かが通った。
それは普通の怪鳥の赤い甲殻とは逆の青色をしたイャンクック亜種だった。
「おっとこれはヤバいぞ。一端逃げるか」と違うエリアに行こうとしたが、
青怪鳥が行く手を阻む。いつのまにか俺は二頭のイャンクックに囲まれていた。
「絶対絶命の大ピンチってか?おもしれーじゃねぇか。受けてたつぜ!」
俺は青怪鳥につっこんでいった。
青怪鳥は俺に連続啄みをかましてくる。が、俺はそれをものともせず
横に回避し、その勢いでイャンクックの比較的柔らかい部位、翼に連続攻撃を仕掛ける。
調子に乗って連続攻撃をし過ぎたのか、横からイャンクック(原種)が突進してくるではないか!
俺はすぐに武器をしまい緊急回避を試みる。しかしギリギリの所でイャンクックの嘴の先が掠り
足に痛みを感じさせる。しかしミラボレアスの攻撃に比べれば屁でもなく
俺はその場からすぐ離れ二匹に当たるように閃光玉を投げた。
見事命中。二匹が目を眩ませている間に青怪鳥に連続攻撃を入れる!
そして青怪鳥は「グタっ」っと倒れ、まず一匹!と思いそのまま
イャンクックに気刃斬りを入れる。こちらは先ほどダメージを入れていたので
すぐに絶えた。
と油断していた俺にコンガが飛びかかってきて少し防具が凹んだのは言うまでもない。
素材を剥ぎ取り、俺は村に帰った。今日は連続でクエストに行ったので
明日はゆっくりと体を休める事にし、素材をボックスの中に入れ村を
歩く事にした。実はまだこの村の事をよく知らない。歩いてみると
結構この村は良いものが並んでいる。それにポッケ村に比べて
にぎやかで、人も多く、民家も多い。それにこの村に来たときに必ず
目に入る村を囲む高い壁。これならランポスなどのモンスターが
入ってくる心配はない。「この村って結構すごいな~。」と呟くと
向こうのほうから村長が猛スピードが走って来るではないか!
「いまこの村を凄いっていったよね!当たり前さ~。僕の村だからね~。」
と言うとどこかに行った。.....すさまじい地獄耳だ。あんたの地獄耳が
一番すげーよ。村長の陰口は言わないようにしよっと。
帰り道、特売でサシミ魚が安かったので買って帰ることにした........
そして翌日
する事もないので部屋にいる豚(愛称:プーギー)と戯れたり
最近全く使っていなかった、大剣「封龍剣[滅一門]」を磨いていた。
磨きながら俺は
「ミラボレアスに行って以来お前を使うことが無くなったな.....」と呟いた。
すると突然外が騒がしくなった。村人達は悲鳴をあげている。
「何だってんだ!?」
すると村長はさも慌てたように俺の所へ来た。
「大変だ!ジャック!村にドスランポスが来たんだ!こんな時期に来るはずはないのに!」
確かにそうだ。いまは温暖期。とくに彼奴等は襲うことしないはずだ....
とりあえず俺はそいつを片付けることにした。弱い。弱すぎる!
下位のドスランポスだとすぐ分かる。一撃だ。一撃で死んだ。
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それから数日。何日経ってもなにも起こらなかった。
(何だったんだろう・・・?)