一部 五章 後編
 五章 力を求めて 後編
 
砦へと着くと数多の街や村から救援に来たハンターたちがひしめき合っていた
その中にヘレンを見つけた。まさかこのクエストに来ていたとは。俺はフラックと
共に砦を出てラオシャンロンに対峙しに行こうとした瞬間後ろから「あれっもしかして
ジャック?」と聞き覚えのある声がした。「そうだが君は誰だね?」といって
振り返った矢先俺は驚いた何と声を掛けてきたのは他ならぬヘレンだったからだった。
「ヘレン?」というと急にビンタを食らわせられる、そして「ジャック!すっごく探したんだからね
あなたが消えたことを知って以来あたりの村などを探したけどいなくてもしジャックならこのクエストに
来ていると踏んで待ち伏せしてたの、あれから私強くなったんだから、あなたの足手まといや
ふがいなさを感じないくらい強くなったから。あなたの傍に居させてくれる?っていうかもう
絶対離さないから」と涙ながらに語った俺は「すまなかった、そんな思いをさせてるなんて」といい
「俺こそ離さないからなヘレン」といったとき、「あのジャックさん。ラブラブするのは
かってですけどその人は誰ですか?」とフラックがいった時ラオシャンロンの雄叫びがしたので
「話は後だヘレン、フラック、リース行くぞ!」といいラオシャンロンへと対峙する
 
ラオシャンロンは砦へと向かうルートを着実に通っている。ヘレンはランス
封龍槍【刹那】を使い顎へと一撃を食らわす、だが流石に亜種モンスターだ
甲殻の上を滑り火花を散らしただけだった。今度は俺の封龍剣の三段溜め切り
今度は威力があるため甲殻をたやすく裂き、血が傷口からしたたり落ちる
フラックの鬼人切りがその傷口めがけ舞う、傷口は広がり血が滝の如く出る
だがこれだけ血を流そうと決して進行を止めようとはしない、やはり亜種だけある
さらに腹へと槍を突き入れる今度はやらかいせいか、突き刺さる。血が雨粒の如く
落ちるさらにリースのハンマーが奴の角を襲ったとたんに角が折れて壁へと
突き刺さる最終防衛線まであとわずか後どれほど奴に体力が残っているのか
分からないがどうしたものか・・・
 
とうとう砦の最終防衛線まで老山龍が来てしまった。あれからここに来るまで、
対巨龍爆弾、大タル爆弾Gなど有るだけ使ったものの、一向に怯まない。
こいつは昔戦った奴とは格が違う。恐ろしい程に高い体力を持っている。
破壊力も半端ない。さっきあるハンターの頭蓋骨を軽い尻尾の一振りで
容易に砕き、絶命させた。薄白い霧から老山龍の姿が見えた時、俺は
「撃てぇ!!!」
と全てのハンターに指示を出す。先ず一つの大砲を撃った後、続いて
バリスタの雨が老山龍を襲う。さすがにこの攻撃には耐えられないだろう。
老山龍は苦しそうにその場で呻いている。そこに大砲の玉が
無数に放たれる。背中の堅殻が、肩の上鱗が、砕け散る。
「グギァオォォォォォォォォン!!!!」
怒りのバインドボイスを最後の力を振り絞って放つと、息途絶えた。
「やったぞぉぉぉぉ!!」「勝ったぜぇぇぇぇ!!」
と何人かのハンターが歓喜の声を出すと、つられて周りのハンター達も
一緒にギャーギャー喜びだす。
「ヘレン!リース!」「ジャック!」「ジャック師匠~!」
とリースが一番早くこちらに走ってきた。
「師匠ひどいです!私達を置いてって勝手に何処か行くなんて!」
 
「そーよジャック。次そんなことしたら絶対許さないからね♪」
と一緒に話に加わる。
「わ、悪かったよ。つかリース泣くな!鼻水出てるから!」
「あー!ジャックがか弱い女の子を泣かしたー♪わーるいんだー♪」
「好ましく無いですねジャックさん。レディを泣かすなんて一番してはならない事ですよ。ククク。」
「フラックうるせえぞ!」
と周りから笑い声が出る。一体何なんだ!たくっ......
その明るいムードのまま俺達は村に帰った。この後に起こる災いに気づくことなく.......
 
その後、俺達は着実と力を付けていった。新たな武器を作り、
防具をより高い防御力を持った物に変えたり、確実に昔より
強くなった。そんな日々を過ごして、早一年。俺達は
前よりも大人っぽくなっていた。リースはガキのままだがな。
そして名もどんどん知られていき、すっかり有名人気分だ。
そして今日も、鎧竜グラビモスを狩りに行ってきて現在休養中なのである。
「あ~あ。今日も疲れたな~。」
とぼやきながら、この一年間の間に生産し、強化した太刀、【龍刀・朧火】
を丁寧に研ぐ。蒼く燃えるような刀を持ってるのは俺ぐらいだろう。
「そうね~。ここ三週間依頼入りっぱなしだもんね。」
と弓【プロミネンスボウ・スリー】の手入れをしているヘレン。
俺とヘレンが今使っている装備はレウスSシリーズ。高い防御力が
気に入った防具である。
「師匠~。太刀の練習に付き合ってください~。」
とリースの愛刀【鬼神斬破刀】を振り回している。
「あぶねぇな~。振り回すな!一人で素振りしてろ!」
「へ~い..........」
と渋々外に出ていく。おれの弟子のリースの防具はレイアSシリーズ。
毒耐性が有り、付けていれば毒はくらわないなかなか良い防具だ。
 
とそんな時だ。ある事を思い出す。
「あ。そういや今獄炎石が足りないんだ。今から行くのもな~。」
「....あ、ならトレニャーに頼めば?それなりに高くつくけど。」
「そうするか。今はあんな暑い所行く気分にならないしな。」
という事で滅多に使用しないポッケ農場に行き、トレニャーの所にいった。
「どうしたにゃ?ご主人。何かようかにゃ?」
「火山まで行って獄炎石を持ってきてくれないか?必要なんだ。」
「わかったにゃー。楽勝にゃー。」
というと船に乗り込み、火山に向かっていった。頼もしいな、と見ていると、
船が沈没している。大丈夫かなぁ?..............
「.....ふにゃー!何とか着いたにゃー。しかし疲れたにゃ...」
だけどご主人の頼みにゃ。頑張るかにゃー。しかし火山の中は
何時になく、トレニャーの予想していた暑さを上回っていた。
「あつ、暑いにゃー...クーラードリンクでも飲むかにゃ。」
少し楽になり、奥へと進む。ついに採掘ポイントに着いたにゃ。
「さーて。採掘するかにゃ。...あったにゃ!獄炎石にゃ。帰るかにゃー。」
と帰ろうとした時、何処からか災いを呼ぶかの様な飛竜の鳴き声が.....
 
「一体なんなんにゃ?」
鳴き声が聞こえた方向へ歩き出す。その鳴き声は火山エリア外からだった。
「だとしたら.....あそこしかないにゃ。」
【決戦場】火山地帯の一角にあり、普段は人の目に触れることすらない領域。
アイルー達の伝承に知られる未知のモンスターが出現する。
と、確か長老(アイルー族)が言ってた気がするにゃ......
興味が沸いてしまい、思わず足を踏み入れる。そこは
大地に溶岩流が流れており、灼熱の暑さを誇っていた。
その時!!溶岩から巨大な飛竜が現れた!
「にゃにゃにゃにゃー!?に、逃げるのにゃーーー!!」
慌てて来た道を戻る。ふ、塞がれている......
「や、やばいにゃーーー!!...あっモドリ玉があったにゃーー!」
慌ててそれを下に投げつける。緑の煙幕に包まれあっと言う間に、
火山エリアのベースキャンプに戻って来た。
「あの飛竜はもしかしてにゃ..........」嫌な予感がしてならない。
これから起こる危機にトレニャーだけが、気づいたのであった.......
 
「大変にゃ大変にゃ大変にゃーー!!」
船を猛スピードで漕ぐ。(あの飛竜は間違いない....彼奴にゃ!!)
その頃ジャック達は.......
「ポッケ農場っていろんな素材が手にはいるな。今度から使うか。」
等と暢気な事をしている。
「あれ?あの人影は...トレニャーか。でも何であんな急いでるんだろう?」
とりあえず上陸したトレニャーのもとに行く。
「そんな急いでどうした?なんかあったのか?」
「大変にゃ!!覇竜アカムトルムが現れたにゃ!」
「アカムトルム?何だそいつは?」
「おいらたちの伝承に語り継がれる、飛竜にゃ!奴は半端なく強いにゃ!しかも彼奴はもうすぐ火山エリアまで来てしまう可能性があるにゃ!早く狩らないと大変な事ににゃ!」
「そいつは今何処にいるんだ。」
「決戦場にゃ!かつてポッケ村の村長の先祖が伝説の黒龍と戦った場所にゃ!」
「...分かった。お前はいち早く村長やギルドマスターに伝えてくれ。」
「分かったにゃー!」
早速村長のもとに向かっていった。
「覇竜アカムトルム.......必ず狩ってやる。」
ジャックもヘレン達に告げに言った.....
 
「覇竜アカムトルム?」
まずそれがヘレンが言った最初の一言だった。
「ああ。アイルーの先祖から代々語り継がれてる飛竜らしい。恐ろしく強いそうだ。」
「そんなに強い相手なんですか?」
とリースが聞いてくる。
「あぁ。グラビモスを容易に倒し、奴は絶大な威力を持った必殺技があるとか無いとか。」
「覇竜アカムトルム.................」
「何だフラック?なんか知ってるのか?」
「いえ。何もありませんよ......気にしないでください.....」
何故かその目には怒りがあるように見えた。まるで恨んでるかのような目だった.....
「まぁとにかくこのクエストに俺は必ず行く。一人でもだ。」
「来たくないなら来なくていい。怖いとか、恐怖心があるなら来なくていい。強制じゃないからな。」
少し沈黙が続いた時、ヘレンが口を開いた。
「...私は行くわ。もうジャックと一生会えなくなったりしたら、それこそ嫌だしね。」
「リースとフラックは?行くのか?」
「行かせてください!その覇竜とやらと戦ってみたいです!」
「クックック...当たり前ですよ。私が行かなかったら貴方たちも大変でしょう?」
「決まりだな!!!!」
 
「あ、あっちぃ........いつ来ても暑い....」
「師匠。その言葉、何回も聞きましたよ.....」
俺達が今いるのは火山だ。そして今決戦場の入り口付近に着いたところだ。
「ここが決戦場のベースキャンプ.....と言っても何も無いけどな。」
「ここで腹を満たせておきましょ。決戦前に備えて。」
「そうだな。よし!俺が肉を焼こう!久々だな~。」
決戦前にも関わらず暢気な俺.....もっと緊張感を持て!と誰かが言ってくる気がする。
「タッタラ~タララ~タッタラ~タララ~タラタッタラタッタラタッタラタッタッタッタッタッタッ!!上手に焼けましたー!」
うん。上手く焼けたぜ!この調子で一気に三つ焼いた肉を、ヘレン達に渡す。
「命に感謝しなきゃね....感謝の気持ちを込めて頂きます!」
とヘレンが肉を食い始める。リースも何やらブツブツ言った後食い始めた。
「これが最後の食事にならない事を願いますよ。クックック。」
と言い、肉を切り、デスギア防具にある口元に肉を入れる。
腹を満たした俺達は、決戦場に足を踏み入れた.......
 
「ここが決戦場か......!!」
遙か前方に黒く、ごつごつとした塊のようなものがある。
あれは間違いなく飛竜、そう覇竜アカムトルムだ!
奴はまずこちらに威嚇に近いバインドボイスをすると、頭を上に振り上げる。
「横に飛べっ!」
俺の野生の勘が働いたのか、俺はいつの間にか、そう叫んでいた。
「ピュッ!!ゴオォォォォォォォォォ!!!!」
直後、空を斬る竜巻が覇竜の大顎から繰り出される。耳元で防具と、竜巻の
擦れる音がした。これがトレニャーが言っていた、攻撃なのか。恐ろしい威力。
鎧竜の熱線などこの攻撃の前では微塵と化すだろう。冷や汗がどっと出る。
みんなもかわしたようだ、と覇竜の姿が消えた。その姿を探しているとき、
「ジャック!下!」
と聞こえた時にはもう遅かった........
 
俺の下の地面が大きく揺れる!
「くっそぉ!喰らってたまるかぁ!」
全速力でその場から離れ、横っ飛びをする。あとは運だった。
「グオォォォォン!」
と覇竜が大地から現れ、俺を突き飛ばし、踏みつぶされ死ぬ。
そうなるかと自分でも思っていた中、ぎりぎり、ほんのわずかの差で、
俺は奴の攻撃を避けていた。もはや奇跡、生き残ってるが、生きた心地が
しない。とその時、一つの眩しい光が覇竜の目を灼く。
閃光玉をフラックが投げていた。
「今がチャンスです。こいつはスグ視力を取り戻しますので気をつけて下さい。」
何故フラックがそんなことを知っているのか、俺は気にも止めなかった。
俺とフラックとヘレンの気刃斬りが炸裂する。だが深追いはしない。
覇竜が視力を取り戻したからだ。ヘレンはちょこちょこ攻撃して、
牽制している。三人散らばり、三角形を描く用に覇竜を囲む。
そして俺は剣を振りかぶった......