二部 一章 前編
 一章 王女とシュレイド王国 前編
 
第一章  猫の極秘依頼
今回、眠鳥を狩ったのは、ある人からの依頼が入ったのだ。
まぁ...人じゃ無くて、「猫」からの依頼だが。その猫は人の様に、
言葉が喋れ、理解できる知能が有る猫、一般的にアイルーと呼ばれている。
その中でも特に知能が高く、立派に髭に、コートを纏う猫、そいつは
「よくやってくれたな、ハンター殿。助かったぞ。」
猫の名は「ネコート」とそのまんまの名前だ。口調も普通より
生意気な喋り方だ。
「まぁ資金を稼ぎたかったし、眠鳥とやらと戦いたかったからな。」
そう、俺は今回初めて眠鳥を討伐したのだ。感想は其れほど驚異的な
技は無く、只気をつけるのは飛び跳ねながら突っ込んで来る攻撃だけだ。
あれを喰らい防具がへこんだのは少しショックだった。
 
「ハンター殿。言っておくが私から受ける依頼は全て内密にだぞ。内密に、だ。」
全くこの猫は内密内密うるさい。そんな大した事じゃあるまい。
「そう言えばハンター殿、酒場で貴方様を呼んでいらっしゃった方がいたぞ。」
「わかった。行ってみるよ。」
酒と煙草と肉の臭いが充満する酒場。ギルドがハンター達の
空腹を満たしてやる目的で経営してる事をつい最近しった。
とそこに依頼などを受け付ける、受付嬢マーラン=サラが近づいて来た。
「ジャックおめでとう!良かったわね!」
「へ?何が?」
「あなた〈G級〉ハンターに昇格したのよ!ほんと、たくましくなったわよね~。」
周りからもそんなような声が聞こえる。
「ほ、本当に俺が〈G級〉ハンターなのか!?」
「ええ!」
さっきまで自慢話や喧嘩をしていたハンター達がお祝いだ、などと
騒いで酒をじゃんじゃん頼む。〈G級〉ハンターとは、
下位、上位とある中で一番ランクが上のハンターの事だ。今ポッケ村の
〈G級〉ハンターは俺ぐらいだろう。ということは....♪
「〈G級〉ハンターだけが頼める、最上級の料理、G級フルコースセットを頼む?ジャック?」
(きたーー♪)
 
とその時あることを思い出す.....顔がどんどん青ざめていくのが
自分でも分かった。
「し、しまったぁーーー!!お祝いはまた後で!じゃっ!」
実は今日、長らく他の村で依頼をこなしていた、ヘレン達が、今日、
帰って来るのだ。あれこれ半年は会ってない。俺がきつく、ハンター
を辞めて安全に暮らすんだ。と言っても彼奴らは
「ハンター辞めるなら死んだ方がましよ!私は簡単には死なないから安心してね♪」
などと言われると言い返す言葉が無い。俺だってそんなことを
誰かに言われたらヘレンはああ言っただけだが、俺なら飛びかかって
いるだろう。ハンターにとって辞めて安全に暮らせなど、それは
馬鹿にされてるようなものだ。とそんな事を喋ってる間に村の
二つだけの出入口の内の一つに到着した。そこにはいつものヘレン達がいた。
肩まで掛かった黒い綺麗な髪に大きく美しい蒼色をした瞳の
ヘレン。一方、半年前とは見違える程、リースは大人びていた。
フラックはというと......
 
「おひさしぶりですね。クックック。」
「相変わらずだな。その口調だけは......」
一度は死んだかに思えたが、とゆうより死んだのだが。
だが彼はダメ元で飲ませた秘薬で命を取り戻したのだ。
普通、死んだ者は生き返られない。それが普通で当たり前の事を
彼は秘薬を飲ませたらへいぜんと起き上がったのだ。
さすが死神の防具といった所だろう。死神では無いが死神のように見える。
「ジャックー!」
といって抱きついてきたのは誰かは言うまでもない。
「おやおや。邪魔してはいけないですから、向こうに行きましょうか。リースさん。」
「そうだね、フラック。師匠、ヘレンさん、楽しんでください!」
とそこにある少年、というより青年が現れる。ココット村に修行しに
行くとかを昔言ってから、全く会っていなかった、「弟」が。
 
「ジャック兄貴!元気してたか?」
弟、それはジャン・アーバァンという、女に弱い男の事だ。
「そりゃこっちの台詞だぜ.....。まったく勝手にどっか行きやがって。お前がいない間伝説の飛竜、覇竜を狩ったんだぜ。」
「何ぃ!!噂で覇竜を狩ったハンターが、ポッケ村に居るなんて事を聞いたが、まさか兄貴だっとはな。」
「俺だけの力じゃないさ....ここにいるヘレン、リース、フラックの力があったこそ狩ることができたんだ。」
「.....兄貴、随分と大人らしく、いやかっこよくなったな.....昔と大違いだ。」
「そうかぁ?おまえに言われても、別に嬉しくなんかねーぞー。俺は別に何も変わっちゃいや....」
「そんな事無いよ。」
ヘレンがぼそりと呟いた。
「え?」
 
「ジャックは変わったよ。昔より遙かにたくましくなって、勇敢になって、頼れる立派なハンターになったわ。」
「ヘレン.....」
「ぉ、うおっほん!まぁ取りあえず、ジャックは変わったということにして、腹減らねえか?メシ食いに行こうぜ!兄貴のおごりで。」
「いいね♪そうしよう!」
「師匠有り難うございまーす♪」
「ククク。お言葉に甘えて、ご馳走になります。」
「おい!!勝手に決めるな!........おっとみんなに話たい事がある...」
「え?」
「実は俺、<G級>ハンターに昇格したんだ!!」
「「「「....えーー!!!」」」」
「師匠!!それは、幻の〈G級〉フルコースセットを頼む権利が有ると同じ事ですよね?」
「あ、ああ!そうさ!!」
「よぉーし!兄貴、酒場に直行だーー!!そしておごれー!」
「おい!!まぁ、昇格金貰ったから、いいけどなぁ....」
「決定♪みんなで早く行きましょう!」
「おーーっ!!」
「まったく、あんまり食うななよな!」
そんな明るい雰囲気の中、酒場に直行した。
 
酒場は相変わらず、酒と煙草の臭いで充満していた。
「あら?みんなどうしたの?そんなに浮かれちゃって。」
「実はこいつらが....」
「〈G級〉フルコースセットを食べにきましたー♪」
ヘレンがそう言った時、酒場のハンター達の目線が、一斉にこちらに集まる。
「俺にも食わせてくれー!」
「一口でいいからさー!」
などと強請ってくるではないか。
「駄目だ!!お前らには絶対にやらん!食いたいなら、自力で食え!」
ブーイングの嵐が巻き起こる。まったくこいつらは....
「はい、そこまで~♪痛い目にあいたくなかったら、もうやめましょ~」
と、受付嬢のサラが本気の殺気が辺りを漂わせ、みなを沈ませる。
(こっわ~~.....)
みんなきっと、間違いなくこう思ったに違いない。
「まぁ気を取り直して、サラ!<G級>フルコースセットを頼む...」
「毎度有り難うございま~す♪」
   一時間後・・・
肉の焼けた臭いと、様々な超が付くほど高級な、料理が目の前に
置かれる。
「うおぉぉぉぉ!!すげー旨そうだぁー!」
そしてみんなで喉をゴクッと鳴らし、とろけてしまいそうで、
柔らかく、良い香りがする肉にフォークを突き立てた。
 
そして一緒に肉を口に入れる.....
「・・・」「・・・」「・・・」「・・・」「・・・」
沈黙が続く。周りのハンターも食べている俺達を羨ましそうに、見てくる。
「う........」
ヘレンがそう言った後、俺は
「うっめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
と叫んでいた。旨い!旨い!!最高に旨い!
「天然霜降りトマトの濃厚なソースと、肉汁が絡まり肉の美味しさを最大限まで引き出す....非常に美味ですね。ククク。」
などと語っているフラック。その食べ方は、上品だった。
しかし旨い。肉の後に、果物の盛り合わせの、エメラルドリアン
を頬張る。う~ん、甘い!こんなに甘いエメラルドリアンは、一度も食った事が無い。
とそこに完熟マンゴーの、ジュースが出される。
「ほんと、旨いわ~♪ほっぺが落ちちゃいそうよ~♪」
その気持ちはわかる。とてもわかる!正直、今更だが俺がこんなに
美味しい物を食べて良いのかと、少し不安になる。
(まっ今はとにかく食うか。こいつらが、俺の分を食べない内に.....)
リースは黙々と食事に集中していて、フラックも一人で語りながら、
食べている。まぁヘレンが少し小食で助かったがな......
 
メシを食い終わり、高額の請求書を出され放心状態の俺を余所に、
楽しく対談しているヘレン達。まさかここまであの料理が高いとは.......
渋々払い終わった俺は、対談中のヘレン達に向かっていった所、
誰かが戸を開け、入ってきた。それは誰もがその、「少女」を見ていた。
少女といっても俺と二歳ぐらいしか変わらないだろう少女は、
中年のオッサンハンター達に絡まれても、それをあっさりスルーし、
こちらに向かってきた。それも俺の目の前で止まった。
「あなた様がジャック・アーバァンと言うハンターですか?」
「あんた誰だ?見かけない顔だが...」
「失礼しました。私目は、ミリアス・ラシアと申します。貴方を訪ねに来たのは、他でもない依頼を頼みに来ました。」
「依頼?俺に直接なんて、どんな依頼なんだ?」
「シュレイド王国の近隣の樹海で、生体系に載って無い新種のモンスターが出現したそうで、我が父の国王もそのモンスター駆除依頼を出しているそうですが、逆に遣られて亡くなって帰ってくる始末でして...」
「ちょちょ、ちょっと待て!父が国王てあんた何者だよ!?」
「おや、仰りませんでしたか?私目は国王の娘、シュレイド王国第一王女です。」
 
「シュレイド王国第一王女!!?」
皆が一斉にそう叫んだ。言われてみると確かにその姿は、王女らしい格好だった。
それに可愛い....金髪の髪の毛は、長髪で、肌は色白く瞳は漆黒の黒色をしている。
全てが完璧な少女は、俺に誓より俺の片手をぎゅっと握ると、
「お願いです!どうか討伐してくれませんか!」
少女の顔が、すぐ近くに寄り俺は慌てて視線をそらす。後ろから、
ケッと、吐き捨てるようにふてくされた言葉を放った者の名は言うまでもない。
「わ、分かりました。その依頼受けます。」
断ると、王国の全ての人を敵に回してしまいそうなので受けた。
まぁその新種のモンスターとやらと、戦ってみたいというのが本音ではあるが。
「では、こちらへ。すでに馬車は用意されています。」
「え!?今すぐいくのか!?準備とかあるし...」
「ご心配なく。道具や薬は、全て王国でそろえております。あと、この依頼はパーティで行くことができませんので。」
「えぇ!?じゃあ...」
ヘレン達のほうを見る。ヘレン以外は、戸惑っているが、ヘレンは行って
こいとでもいいたげに、こちらを睨んできた。
何か変な事になってきたな.....