AS 1~10

 世界は未知で溢れていた。広大な大地には幾多の命が息づいている。
かの者の鋭き牙は命を絶つ武器となり、かの者の堅き鱗は強固な具足となった。
万象の摂理に任せ狩人は生きた、それは全てを超えた強き者の証。

狩人は未知の狩場へ赴かん。自然の一片であるがために・・・・・。

 

      一章 新たなる出会い

一話


「ハァ・・・ハァ・・。ここで・・死ぬのか・・!」
 雪山。轟竜は自分めがけて突っ込んでくる。吹雪の中、極度の疲労と寒さが襲うなか、
今自分には、奴の突進を避ける力などどこにも無い。
「さあ・・・来るがいい。最後の相手が・・・お前なら・・・・・。」
一人と一頭だけの世界。妙に時間がゆっくりに感じる。
   そう思うと、吹雪がより強く感じた・・・。

 

 

 

二話

 

         ・・・・。
 「諦めるな!お前はまだ死んではいけない!!」
         ・・・・!?
目を開けた。轟竜は片眼は潰され、苦しんでいる。そして、暴れた轟竜の尻尾をくらい、
近くの崖から吹っ飛んだ。
    意識が朦朧とするなか、俺は銃を構えた黒い人影を見た・・・。

 

 

 

三話

 

「うぅ・・・・・」
 天窓からさす朝陽がまぶしい・・・。なんだかとても久しぶりな気持ちいい朝のような気がした。
目を覚ます。しかし、そこに広がっていたのは初めて見る景色だった。           
         ・・・・・!?
何だここは?俺の部屋は?・・・・俺の部屋?何だそれは。こんなところで何をしている?

   ・・・おかしい、思い出せない。俺は何者なんだ!ここはどこだ・・・!!

「き、気が付いたのね!良かった!」

 

 

 

四話

 

 ビクッ!っとして後ろを振り向くと、一人の女性がドアの前に立っていた。
「そんなに驚かないでいいのに~。って言ってもそっちの方が無理かな?」
 そのままベッドの隣の椅子にその女性は腰掛けた。かなり気さくだ。
「あの、君は?それでここは・・・どこ?」
「わたし?名前はミリス=カルイス。ミリーでいいわ!で、ここはわたしの家よ。」
 ミリーは、にこっと微笑んだ。とても素敵な笑顔だ。なんだか緊張が少し和らぐ。

 

 

五話

 

「あなたの名前は?あなたもハンターやってるの?」
「ああ、俺は・・・あれ・・・。」
 俺の名前・・何だっけ?思い出せない!そういえばさっきから変だ。何で俺はこんなところで
こんなことしている。このデカイ傷は何だ。こんなところに来た覚えも無いぞ!!
「どうしたの?具合悪い?」
「ひとつ聞くが、俺はいつからここにいる?」
「・・・あなたは二週間前に雪山の谷で見つかったわ。知り合いのハンターがクエスト中に見つけたの。背中の三本の深い爪痕、重度の凍傷、出血多量で発見が遅れてたらあなたはここには居なかったわ。」

 

 

 

 六話

 

 そんな!一体俺に何があったっていうんだ!!
「・・・・出せないんだ。」
「ん?なんていったの?」
「何も思い出せないんだ。俺は何者なのか、何をしていたのか、なぜこんな大怪我してるのか!!」
 俺は焦っていた。何もわからないこと、記憶が欠けてしまっていたことが。
「記憶をなくしたのね・・・。かわいそうに。」
「焦る必要は無いわ。ここは空き部屋、ここなら住んでもらってもかまわない。私ハンターやって生活してるの。あなたもかなりたくましい体格してるわ。記憶を失くす前はあなたもハンターやってたのかもね!!」
 俺はこの先どうしようか。ミリーは、ああ言ってくれたがずっとここに居る訳にはいかないだろう。

 

 

  七話

 

「なら私と組まない?」
「組むって?」
「ハンターをよ!そうしていればもしかすると、何か思い出せるかもしれないし。きっとあなたならいいハンターになれるわ!」
 ハンターって、あのモンスターハンターのことか!?確かに行く当ても無いしやってみてもいいが、
俺にそんなのうまくやっていけるのか?
「うまく出来るかって?」
       ・・・・・なんでわかった・・・!?

 

 

 八話 

 

「大丈夫!誰にだって最初はあるわよ。訓練所もあるし、私もいろいろ教えてあげるわ。」
 そうだな!このままボーっとしてても仕方ない。記憶が戻るまではここに居よう。
 ハンターか。もしミリーたちに助けてもらわなかったら俺は死んでいたんだ、命懸けだがやってみるか!
「そう!その意気よ!」
      ・・・・・心が読めるのか?コイツは・・・

 

 

 九話

 

「それよりあなたの名前はまだだったよね?」
名前?・・・うーん。とりあえず、何か決めとかなくちゃ。ふと、隣の小さな本棚に目をや
る。「----******   編集:ロニキス・*・***-----」 そうだ!
「お、俺の名前はロニキス・フリード。とりあえずよろしくな!」
「うん!こちらこそ。よし、じゃあさっそく・・・・」
「ん?」

 

 

 十話

 

「おう!いらっしゃい。」
 ここは村の鍛冶屋。武器・防具選びにミリーが連れてきてくれた。
「まず、あなたの使いたい武器を選ぶの。いろいろ使ってみるのもいいけど、最初はひとつ使いこなせるまであれこれ武器を変えるのは避けた方がいいわ。」
 うーん。武器か、いろいろあるなぁ。一見ガンランスとか大剣がダイナミックで強そうだ
けど・・・・・。
「フリードには最初はやっぱり立ち回りの特訓もかねて、機敏に動けて盾も使える片手剣かな?」
「ミリーは何を使ってんだ?」
「わたしはライトボウガンよ。近接武器はどうもうまくいかなくて。でも器用だし装填作業とかも得意だから結局コレにしたのよ。フリードは何か気になる武器はある?」
「うん。コレがね、ちょっとね。」