AS 11~20

 十一話

 

「・・・双剣?」
「ああ、別に俺はまだどれも使ったことも無いんだが、なぜか頭ん中にひっかかってな。ものは試しだ、俺コレにする。」
「き、きっとフリードならうまく使えるようになるわよ。」
 ん?どうかしたかな・・・?まぁ、いいか。 
 それからあとは防具だな。隣の店か。
「お~、いらっしゃいミリー。新しい<ランポスシリーズ>はどうだい?」
「ええ、とても使い勝手がいいわ!弾が、最大量調合できるのも便利だし。
 それより、この子ハンター初めてでね、予算内に防具紹介してくれない?」

 

 

 十二話

 

「ほう。お前さん、名前なんていうんだい?」
「フリードといいます。はじめまして。」
「防具屋のスミスだ。よろしくなボウズ。」
 そういいながら、すごい目つきで俺の顔を覗き込んでいる。な、何か悪いことしたかな?
「・・・お前さん、いい目してるなぁ。」
         ・・・・えっ?
「強い意思がこもっている。<狩人>の目だ。近頃の若造にもたいした奴も居たもんだ。」
 低いくぐもった迫力のある声で言った。・・・怖っ!
「ど、どうも・・・。」
「・・・・・お前さん、賭けを俺としてみないか?」

 

 

 十三話

 

「賭け・・・ですか?」
「そうだ。お前さんには、この店の完成済みの防具の中で、一番高い<バトル装備>をタダであげよう。ただし、もしお前さんが本気で〝ハンター〟として生きていくことに覚悟が少しでも揺らいだ時、その代金は払ってもらおう。」
・・・・ハンターは、そんなに重い仕事なのか。スミスさんは、俺を試している?
だが決めたんだ!ミリーに助けられたこの命、ハンターとして命一杯燃やしてやる。
「ああ、乗った。ありがとう、スミスさん。ミリー、行こう。」
「うん。スミスとちょっと話があるから、先に家に行ってて。すぐ行くから。」

 

 

 十四話

 

 フリードは、軽くうなずいて家の方に帰っていった。ミリーとスミスは店の奥に入っていく。
「どうしたの?いつものスミスさんらしくないじゃない。あんな怖い顔見たの初めてだわ。」
「・・・あいつもこんなだった。まだ俺が今より若かった頃、今の若造と同じ〝目〟をした男に出会った。奴は町を襲った〝例の災い〟から単身で救ったという偉業を成し遂げ、ついには、偉大なハンターとして自然に帰っていってしまった。」
「そ、それって・・・・・・。」
「俺は・・・フリードとか言ったな、あいつに賭けてみたくなった。偉大なハンターだったお前の・・・」
「やめてっ!!・・・・・ごめんなさい。もう行くわ。ありがとうスミスさん。」

 

 

 十五話

 

 その頃、フリードは結構うれしそうな面持ちで家に向かっていた。
 武器も買ってもらっちゃったしな一杯クエストこなしてミリーに恩返ししなくちゃ。
「おっとっと! ちゃんと前向いて歩きなさいよ。・・・うん?見ない顔じゃ。この村ははじめてかい?」
 何だろう、この爺さんは。
「は、はい。すいません。ロニキス・フリードといいます。失礼ですが、あなたは?」
「わしか?初めてなら知らんのも無理ないか・・・。」

 

 

 

 十六話

 

「ここの村の村長だ。よろしく。君もハンターなのかね?」
 な~んだ、村長か・・・・ってええ!!
「は、はい!初心者ですが。今、防具と武器を買ってきたんです。」
「ほう。ギルドの法では、村長から初心者には身支度金が少々配給されることになっている。え~と・・・。じゃあ、ハイこれ。少ないが薬や、道具などにはコレでかいなさい。では。」
 身支度金と、書いてある封筒を渡された。・・・・・1500z・・・・・。まあ、回復
薬ぐらい買ってかえるかな。

 

 

 十七話

 

「ただいま~。」
 新しい武器に防具に、ちょっとルンルン気分で。
「あれ?フリード先に帰ってたんじゃなかったっけ?なんか嬉しそうだし。」
「ああ。途中で挨拶がてら村長と話してて。あと、武器ありがとうな。」
「うん。よーし、狩の基本は実践が一番!早速用意して何か狩に行きましょう!」
 よし!俺もなんかわくわくするなぁ。

 

 

 十八話

 

「ミリー、これいいんじゃないか?【依頼 生肉大量納品】」
「そうですね。隣の王国で晩餐会が催されます、ギルド側にはその大量の肉が必要なので、集会所で手分けしているんです。採集クエで、相手が草食動物なので初めての方もOKです。」
 そう言うのは、集会所の受付嬢・サラだった。・・・ミリーに負けず劣らずなかなか美人!!
「草食動物なら、フリードの双剣の練習にもいいわね。報酬も王国からだからなかなか高いし。」
「だろ?これにしようぜミリー。」
「草食動物は、最近繁殖期を迎えているので、十分な頭数も予測されますのでそう難しくは無いです。ギルド側でも消化したいクエストでもありますので。」

 

 

 十九話

 

「でもね、草食動物が繁殖期ってことは、餌を獲りに凶暴な肉食竜なんかがいつ出るかも判らないのよ?危険じゃない?」
 うーん。確かにそうだな。でも、やっぱりこんな好条件のクエストを、み
すみす逃す手は無い!!
「俺は、このクエストでも大丈夫だと思うぞ。」
「うーん・・・。フリードがそこまで言うなら行かないことも無いけど。今無茶しても仕方ないよ?」
「よし!じゃあこのクエストに決まりだ。行こう!」

 

 

 二十話

 

「ついたわ。」
「うわぁ・・・・すごいなぁ。」
 現地森丘に到着。木々が生い茂っていて、空気も美味しい。新しい<バトル装備>
の間を、涼しい風が通っていく。背中には、鉄双剣ツインダガーを携えている。
「そうねぇ。いつ見てもきれいよ、ここは。それよりハイこれ。」
 小瓶5つに、なにやら小さい包みの食べ物らしき物、携帯用砥石だ。
「なに?これ。これミリーのじゃないの?」
「ううん。これはね、支給品。ギルドの計らいで支給してくれるものだから、ある分は好きに使ってかまわないわ。」
 ほほう。ギルドもたいしたもんだな。
「多分、次のエリアにアプケロスっていう草食竜がいるわ。おとなしいけど、たまに怒り出して反撃する時もあるから、一応気をつけて。」