AS 21~30

 二十一話

 

 案の定いた!3頭か。
「俺の初めての狩、一匹目だ!いっけぇぇぇーーーーー!!!」
・・・・・・・・ガッキィィィン!!!
 手がしびれる。弾かれたのか?ぜ、全然効いて無いじゃん!
「ああ!・・・もう、待ってって言ったのに。せっかち過ぎーーー!」
 声はちょっと怒っていたけど、いつも通りの優しく微笑んだままだった。俺も落ち着かなきゃ。
「あのね、でたらめに切ってもダメなのよ。剣には刃筋ってあるでしょ?切る
 時に、剣が横向いてたり、刃筋が立ってなかったら、武器の切れ味が良くても
 絶対切れないわ。」

 

 

 

 二十二話

 

 そ、そうだったのか。幸いもう二匹のアプトノスは、気づいていないらしい
な。落ち着いてもう一回。
「オラァァーーー!!」
・・・・・・ブシューーーッ
「切れた!でもまだ浅いな。」
「いいわ、その調子よ!」
 斬り続ける。ついにアプトノスは力尽きて崩れ落ちた。それを見たもう一頭の
アプトノスは川を渡って逃げようとしていた。
「逃がさないわよー!」
 ミリーもボウガンを構えていた。弾の装填、器用と言うだけあって確かに鮮や
かだ。スコープを覗いて一発はなつ。
「グファァァウゥ」
弾は奴の脳天にクリーンヒットし、奴も息絶える。

 

 

 

 二十三話

 

「やるじゃないか、ミリー!一撃でなんて。」
「まぁ、動きがゆっくりだったからね。あれぐらいはね。あなたも今言っただけでもうちゃんと斬れるなんてすごいじゃない?才能あるのかもね!」
 褒められてミリーはうれしそうに笑う。
「ああ。やってるうちになんとなくわかってきてね。」
「でも、達人なんてもっとすごいのよ。流れるように連続でスパスパやってるのに、よく見るとしっかり斬れてるんだもの。もうあそこまでいくと、さすがに恐ろしいわ。」

 

 

 

 二十四話

 

「何だよそれ。もっと練習しなきゃな!」
「聞くところによると、「鬼人化」っていう身体能力を著しく上げる奥義とかもあるらしいけど、相当修行を積んだ人でも全員が出来るわけじゃないんだって。双剣って奥が深いよね。」
 まあ、この調子でドンドン狩って、バンバン修行すればいつかうまくなるよね?
「さて、剥ぎ取ったら次行くわよ!」

 

 

 

 

 

 二十五話

 

 あれから10分。繁殖期ってのもあって、生肉を集めるのには苦労しなかった。
そろそろ、生肉の調達も終わりを迎えようとしていた。
「結構集まったね~。フリードはどう?双剣の練習にはなかなか良かったんじゃない?」
「う、うん。そう・・・だね。」
「どうしたの?気分悪い?」
「うーん。別に疲れたわけじゃないけど」
 そう。疲れたわけじゃない。さっきから思ってるんだが、ミリーは〝剥ぎ取る〟のは、
気持ち悪くならないのか? 俺は、剥いでるのを見てるだけで、この有様だぜ。
「よし!そろそろ納品してこようか。その時ベッドで寝れ・・・・ば・・・・。」
「ああ。ここは・・・地図でいうエリア9か。ベースキャンプはここから南東だな。」
「・・・・・フリー・・・・・ド・・・・・後・・・。」
「おい、どうしたんだよ。後?後になにがあるっ・・・て・・。」

 

 

 

 二十六話 

 

     ・・・・・キョワァァァーーーー!!!
 何かすごいでかい鳥みたいなやつが・・・俺たちの方に走ってくる!?
「フリードッ!!とにかく走って!!」
「何だよコイツはっ!何だよコイツはーーーーーっ!!!」
 俺たちもすごい走る!・・・もしかして、ここのちょこっと広くとってある広間って、この鳥みたいなのの。 ・・・巣?
「小型肉食飛竜・イャンクックよ。なによっ!肉食獣いるじゃない!!
 ギルドの嘘つきーー!!」
「なななっ!何でこんなところにーーーっ!」
「イャンクックがぁぁーーーっ!!!」

 

 

 

 二十七話

 

「ミリーーー!こいつお前じゃあ倒せないのかーーー?」
「そんなこと言ったってーーー!こいつ結構しぶとくて手強いから苦手なの
 よーーーー!!」
「そんなーーーーーーーーー!!!」



と、言うことだ。でもこのまま走っていては、何の解決にもならない。
「一旦逃げよう、フリード!」
「・・・コレって逃げてるんじゃないの!?」
 へレンが、腰のポーチからなにやら玉のようなものを出して口でピンを抜いた。
「閃光玉投げるから!そこの茂みに隠れて!!目を閉じなさぁぁいっ!!」
 辺りに、激しい光が一閃して、イャンクックの足が止まる。一旦茂みの中で作戦でも立てるか。

 

 

 

 二十八話

 

「なあ、あいつって・・・」
「しっ!声が大きい!あいつは耳がいいから物音は立てちゃダメよ。」
 クックは、閃光玉の効果がきれて周りを捜している。警戒心が強いんだな。
「ミリー、ごめんな。俺が無理言わなければこんなことには・・・。」
「え?いいのよそんなの。気にしないで。ところでどうする?クエストは始まってそんなにたってないから、迎えの船はまだしばらく来ないわよ?まだ、肉も少し足りないし。」
 肉も取れきれてない。記念すべき初めてのクエストで、こんな簡単な条件も満た
せないなんて、何かサッパリしない。でも、背に腹は変えられないな。
「リタイア、する?引き際を見極めるのもハンターには大事なことよ?」
「・・・あぁ。出直してこよう。」
 二人はそっと立ち上がる。いろいろあったから、少し疲れたな。ん?
何だアレは。何かがすごいスピードでこっちに向かってくる。影でよく見えない。
          ・・・・ッ!? あいつはっ!!

 

 

 

 二十九話

 

「ミリー、後だっ!右に跳べ!」
 ミリーは「はっ!」っとした様子だが、後を見ずに右に回避した。はたして、それはブルファンゴだった。
成体のドスファンゴには及ばないが、奴の突進を、ましてや背後からまともにくらえばひとたまりも無い。
 ミリーの延長線上の俺めがけてそのまま突進してくる。
「はあぁぁあッ!!」 
 奴の傍らを通り過ぎるように切り払う。だが、まだ浅い!
バシュウッ! 「グファァウッ!!!

 

 

 

 

 

 三十話

 

 貫通弾が、ファンゴの体を一閃する。もがくことさえせず、一瞬で片がついた。
「あ、ありがとう。」
「ええ、こちらこそ。でも気づかれたみたいね。」
「ッ!?」
     キシャアァァッーーー!キョワァァッーーー!!!
「走って!!」
 ミリーと同じ方向に走り出す。振り向くと、俺たちの今いたところには
      ・・・・・イャンクックの鋭いクチバシが深々と刺さっていた。