虚空 最終章
 第九章 結婚と試練
 
村へ帰ると入り口に膨れ顔のアリス、どっしりと構えたロードス
とオレガノ。手を思い切りブンブンと振るミリアとバートレッド
笑いかけるシルフィーナが居た。ミリアとバートレッドの手の振り方
が一緒なのが少し気になった…
「遅くなってすまない」と傷だらけのボロボロの俺がホロを
支えながら言う。「わっちも忘れんようにな]とホロが付け足す。
その瞬間アリスは心の中で思った「このままじゃあの雌狐にロベルト
を取られてしまう。なんとしてもゲットしないと…私が惨めじゃない
こんなにもロベルトを思っているのに…」一方ホロは「主様の心は
わっちに傾いておる。今の内に告白をすれば主様はわっちのもの」
と野心を抱いていた。素材は俺40%、ホロ40%他20%
で分け合った。ギルドが俺とホロ以外は
クエストリタイアとみなされ報酬をもらえないといったが
半ば強引に与えさせた。
そうして1週間が経ったある日俺の家の戸を叩くものがあった。
ミリアとバートレッドだこの二人が言うには結婚したらしい…
二人は今本当の夫婦になるための試練を受けているという。
それは二人だけで何日かかってもいいからある二種類の
モンスターを狩って来いというものらしい。そのモンスター名
は二人以外には教えていけないらしく分からなかった。
とにかく祝福し、狩りの成功を祈った。
その日の午後また戸を叩くものがあった二人組みらしく
下から靴が二足見えていた…
一人は尻尾が有った為ホロと分かったがもう一人は分からなかった。
「どうぞ、開いているから入ってきて」と招きいれた時
俺に衝撃が走った…
 
その衝撃とは目の前に人の形をしたキリンが
二匹(二人)現れたからであった。
ホロは頭はカチューシャの様に仕立てていて
ケモノ耳が強調されている。
腕は細さを見せるように作られており、
足はすらりと長く見せるようになっている。
さらに腰はフサフサさせてその後ろから出ている
尻尾を強調しさらに良く魅せている。胴体は
極力薄着にされておりシンプルかつビューティ
フルに決まっている。それにうって変わって
アリスはセンスの無さを体現している。
その二人から暫くの静寂の後二人から
「同時に私と結婚して下さい。」と告白を
受ける。俺は「少し考えさせてくれ」と
答える。「分かった」「わかりんす」
と答え出て行った。その日の夜俺は考えていた…
 
その日の夜は満月でそよ風の吹くすごし易い夜だ。
おまけに雲は一片も無く、澄んだ青空に星達がキラキラと
輝いている。ベットで横になっていたものの昼の出来事
で悩み眠れないでいた。星と月が余りにも綺麗なので散歩
がてら山道を歩き小高い崖に座る、空を見上げれば数多なる
星が煌めき、下を見れば一面の花畑。ここは俺が小さい時から
来ている絶景スポットだ。そんなこんなで空を見上げていると
「主様よ、ちょっといいかや」とホロが顔を眼前にニョキリと
だす。「なんだよ~、脅かすなよ」反論したもののホロだと
分かった瞬間胸がどきどきして心拍数が上がる。「今宵は月が
綺麗じゃし、星達も瞬いておる、まるで二人の間を取り持つ
様じゃな」「そうだな」と他愛のない会話をしていると
星達が流れ星へと変わり流れていくその幻想的な風景に
見とれている俺の横でホロは「主様と一緒になれますように」
とお願いをしていた。流れ星は長く続いていた、このことは
天文学的に流星群というらしい。だが何か様子がおかしい流星群は
地面に落ちないはずだが今のは地面に落ちている。
一瞬光ったと思うと此方に何かやってくる。
レクシエムだった。
通り過ぎただけだったが態勢を崩し崖を転がり落ちてゆく俺。
ホロは自慢の運動神経で助かったらしい。
真ッ逆さまに落ちていく俺が最後に見たのはホロの泣き顔だった。
「ドンッ」と地面に叩きつけられなおも転がる。
そして何処とも分からない場所で止まった。
そして気を失った、ホロは村へと戻り一大事を皆に
伝え捜索し始めたが見つからず、翌日にもっと良く探す
事にし眠りについていた、だがホロとアリスは気が気で
眠れなかった。その時俺はのびていた。そして夜が明け
た…
 
目が覚めた俺が見たのは何処とも分からない森の中だった。
幸いコンパスを持っていたため方角を確認しようと見る。
コンパスはぐるぐると回り方角が分からない。
だが日の出ている方向から方角が分かり、村に向かって
歩き出した、一方ホロたちは崖の辺りを捜索していた、
皆が探し回っている間にホロは自慢の嗅覚を使って匂いを辿って
いた。俺は小川を渡り崖の下300m位に来るまでずっとホロの
事を考えていた。俺はホロの事が好きになったのだ。
そして崖の真下に来た頃匂いを辿ってきたホロに出会う。
もう自分の気持ちが分かっていた俺はホロに「昨日の
返事をしたい」といい「俺はホロのことが好きだ、
昨日考えていてようやく気付いたんだ。だから
俺と一緒になってくれ」「やっとわっちの願い事が
叶った。」皆と合流し村へと帰った。
アリスに返事を返した時泣かれたのは言うまでもない。
帰る最中ずっとホロと手を繋いでいた…
 
その翌日結婚式に使う指輪を買いに行った。
店に入り見てまわる、ふと目に止まったのは
アカムのブラッドオニキスをふんだんに使った
赤き指輪とメビウスのアイスダイアモンドを
使った指輪のペアリングだった。店主に聞くと
この指輪をした二人には永遠の命と若さが手に入る
という。セットはこれが最後らしい値段は超ど級の
百万Gで足りなかった。家へと先にホロを帰らせる。
その後の夜俺は笑顔で帰る。ホロに何かを手渡す、
それは朝の時の指輪だった。「どうして、足りなかった
はずじゃないかや?」「さっきの財布の中身じゃね、
預金を全額引き出して勝手来たんだよ」「このたわけが、
まったく心配させおって、まったく」
と会話をしながら寝た。
次ぐ日すぐに結婚式を行い俺とホロは夫婦になった。