二章 鉄壁の布陣
「こりゃあ・・・派手にやってくれたのう・・・。」
「・・・直せますか?」
「難しいな。へこんだとか焼け焦げたとかならまだしも、こうも見事に真っ二つだと、ただくっつけただけじゃ
直らん。鎧玉が大量にあるなら、話は別なんだが。」
「じ、じゃあやっぱり・・・・」
スミスさんの口から、ついに恐れてた言葉が出てきた。
「ここまで壊れたら、さすがの俺でも直せねぇ。新しいの買うしかねえなぁ~こりゃ。」
フリードは、がっくりと肩を落とした。
ここは、スミスさんの鍛冶屋。昨日のクックとの激戦で、破損した武器・防具を修理してもらいに来たのだ。
「ちなみに、このツインダガーと、頭・腕・腰なら有り合わせで直せるからな。」
「・・・・・・ちなみに、胴と脚で?」
「3000zだ。」
ッ!?・・・・・バトル装備ってそんなに高かったのか・・・。う~ん。他の防具で代用ってのもなぁ。シリーズでそろえた方が断然
使いやすいのも確かだし・・・。
フリードは、自分の財布をしぶしぶ開いてみる。そこには、ちょうど3000zが入っていた。ギルドと集会所の手当で、被害にあった
フリードたちには特別報酬が渡されていた。
くそッ!せっかく手に入れた報酬がパァだ。・・・・・・背に腹は代えられねえってことか。
「じゃあ、それ買うよ。はい、3000z。」
「よし、またあとで来な。それまでに直しとく。」
空になった財布を哀しげにたたんで、フリードは自宅の方に歩いてった。
スミスは、工房で早速防具を作り始めていた。
・・・・・・あの坊主、イャンクックを狩っただと・・・? いくら飛竜の中で弱いっつっても、初心者がいきなり
狩れるような甘い奴じゃないはずだ。
鉄板を打つそのたくましい手に、いっそう力がこもる。
ふ・・・いまどきこんな大した野郎がいたとはな。ほとほとあいつにそっくりだ。・・・・・・ッ!! まさかッ!
「お~いッ! 誰か、誰かいないのかッ!!」
ふと、我にかえる。すっかり考えふけっていて、外の客に気がつかなかった。
「すまねぇ、ちょっと手が離せなかったもんでよ。」
「いいんだ、そんなことッ! それよりさっきまであんたと話してた男は、どっちへ行ったッ!!」
・・・? 何だこいつ。あいつの知り合いか。
見れば、奴の腰にはデッドリボルバーを提げている。簡単に手に入れられる代物ではない。
「教えてくれ、頼むッ!」
「分かった分かった、あいつの家はあの緑の屋根の家だ。」
「そ、そうか。助かったぜオッサン。」
奴は走って、家のほうに走って行った。