賢狼 第二章

    第二章 夢の花道
暫くして、村に妙な噂が広まった。昔からの
風習の成人の儀を復活させようという事だ。
成人の儀とはあるモンスターを狩って、
そのモンスターで作ったものを被って
踊るというものだ。成人をしないものは
一人で狩には出れないという事があるため。
狩りに行くことにした、保護者として同伴した…
今回のモンスターはヒプノックだったが何かおかしい、
視線を感じる。それも複数の人間の者だ。恐ろしかったが
異様な雰囲気を感じていた…

 

今居る所は樹海。文字通り樹の海だ。
背の高い樹が連なっているため
海のように見える事からこの名が
ついたといわれている。
この樹海に変わり者の研究者が住んでいる
事はもっぱらな噂だ。
この樹海で大きな戦が起こる…


 

俺たちはヒプノックに対峙したとき、
何処からかヒプノックに攻撃を与える
者が居たのだ。そいつはヒプノックを
あっさりと仕留めたかと思うとおもむろに
怪しい液体を取り出し振り掛ける。
ヒプノックは死んでいるにもかかわらず
動き始めた。
その身体はドロドロに腐り始め世にも
無残な姿になっていたが
立ち上がり俺たちに対峙した。



ドロドロに溶けながらも怪しい液体をかけた
ものの命令に従順に従い攻撃を開始する。
催眠の液体は腐ったことで腐食の液体と
なっておりあらゆるものを朽ち散らすほどの
威力であることはその液体が吐かれた残り汁
が地面に垂れたときにその周りの草木が腐って
枯れたことから容易に想像がついた。
放たれた液体は飛距離が足りず撒き散った
だがあの液体は何なのかが分からない。
そんな中あいつは祠らしき物から何かを
取り出し立ち去ろうとした。
その時に「朽ちて散れ!ヒプノックよ!」
と一声残し立ち去った。
ヒプノックは途端に猛烈なスピードで溶けていき
あとには液体だけが残った。
俺たちはその男を追いかけようとしたが強い
力に押さえつけられたように動けなかった…



村にあの場に残っていた液体を持ち帰って
研究者に見せたところこの液体はいにしえの
秘術を使って生成された物でかけたものの
神経を侵し強い腐食作用を及ぼすが絶対に
かけた相手の命令に従ってしまう魔の液体
だという。そんな秘術を使えるのは樹海の奥深く
に住んでいるという人に違いないと思い
樹海へと踵を返すように向かっていった…


樹海の奥に進むに連れて日が入ってこなくなる。
その時に草むらからヒプノックが飛び出して
来たがロレンスの舞うような斬撃がヒプノック
の羽を丸刈りにし無数の傷を付けていく、
リリーの射た矢が心臓を射抜き倒れる。
あっという間に倒してしまったためあっけらかんと
している俺とホロに「母さん、父さん、やったよ
一人前になったよ!」と叫ぶ子供達に
笑顔で返事を返しさらに奥へと進んでいった。
その道筋は子供達を照らす夢の花道にも見えた。
それにしても子供の成長に驚かされる
俺達だった…
第二部 第二章 完